今年6月にABRSMのPerformance grade5を受検した当時9歳の生徒さんが、無事Distinctionで合格しました!
Distinctionは150点中130点以上の場合にいただけるので、全ての曲や全体講評で高得点を取れていないと獲得が難しいです。
今回は、どのような選曲をしたか、どのように準備して撮影を進めたか、またどのような講評をいただいたかなど書いていきたいと思います。
ABRSMのパフォーマンスグレードとは?
ABRSM(英国王立音楽検定)とは、イギリス発祥の音楽検定で、毎年約90ケ国で実施され、毎年約63万人以上が受検する、世界最大規模の検定です。
その歴史は120年以上になり、日本のYAMAHAのグレード試験のモデルにもなっているそうです。
ピアノグレードは1(初心者レベル)から8(音大受験レベル)まであり、普段は
・課題曲3曲の演奏
・初見演奏
・口頭試問
からなっています。
ABRSMのパフォーマンスグレードは、ロックダウンなどで状況が見えなくなった2020年に始まった、新しい受検スタイルの音楽検定です。
ご自宅などで演奏を撮影し、そのビデオを送って審査していただくので、通常のような初見演奏などは含まれません。
ただし、課題曲+自由曲の計4曲の演奏が求められます。
今回演奏した曲は?
今回は、時代や曲のキャラクターなどバランスを考慮し、もちろん「弾いてみたいかどうか」も大事にしながら、一緒に4曲を選んでいきました。
自由曲1曲
①J. S. バッハ「インヴェンション4番」(J. S. Bach/ Invention No.4 )
課題曲より3曲
②ハイドン 「メヌエットとトリオ」(Haydn/ Minuet and Trio 2nd movt from Sonata in D, Hob. XVI:4)
③ピリング「フィロメラ」(Pilling/ Philomela)
④コルニック「In the Groove」(Mike Cornick/ In the Groove from 20 Piano Studies)
曲のテンポや雰囲気などががらっと変わるように、またその変化をつけることができるということをアピールできる選曲にすることも大事だと思います。
お母様に、レッスンの感想をお聞きしました。
演奏の仕上げのレベルや期日を含めた目標設定が常に明確であったことが、娘の練習を見守る上で、大きな安心につながりました。
細かなテクニックやリズムの理解や曲への向き合い方などに対して、レベルに合った具体的なアドバイスを毎回いただけたので、目に見えて上達しているのが分かり、娘もモチベーションを保ち続けられました。
録音にかけた時間は、約1か月 – 工夫したことは?
準備を始めて曲が弾けるようになるまでは、比較的早かったと思います。
ただ、これは試験なので、かなり細かいところまで聴かせる・見られるのです。
ただ間違いなく楽譜の音を弾くだけでは、ABRSMでいい評価を得ることはできません。
リズムが曖昧なところがあったり、曲の情景や求められている音色を表現できていなければ、しっかり指摘されます。
またバロック、古典、ロマン派、現代など時代も違う曲を演奏するので、演奏法やテンポの取り方、表現の仕方、ペダルの使い方など、しっかり理解し引き分けているかどうかを見ていかなければいけません。
これまでの指導や、受検結果と好評をみていて私が思うことは、
ABRSMの実技試験では、音を間違えずに演奏することよりも、
「音楽のキャラクターを深く理解し、積極的に表現をしようとしていること」
を重視されると思っています。
ですので、私のレッスンでは、
①受講者の方としっかりディスカッションし、曲のイメージや構成を理解し、ご自身の言葉で説明できるように導いていきます。
②弾くことに必死になるのではなく、なぜそう弾く必要があるのか、うまくいかないときにどんな工夫が必要なのかを、具体的な例をどんどん出して、より明確に想像力を膨らませます。
③1曲ずつの演奏にとらわれず、4曲全体のバランスや、どのような進行していくのかなど、初めから最後までの流れを常に意識して演奏できるようにしていきます。
常に冷静に全体を見渡しながら、今弾いている演奏に集中して没頭することは、決して簡単ではありません。
パフォーマンスグレードでは、曲の間の取り方なども細かくチェックされています。
なかなか演奏者ご自身では気づきにくいポイントも押さえながら、約1か月(4回レッスン)で一緒に撮影を進めていきました。
最終的に、最初に決めていた期限内にお子様、お母様、私も納得のいく、素晴らしいビデオを撮ることができましたので、提出することになりました。
お母様に、パフォーマンスグレードを受検した感想をお聞きしました。
これまで何度かパフォーマンスグレードは受検しましたが、毎回4曲通して録画するのが大変で、やはり今回も大変でした。
焦ると娘も私も良くないので、録画の期間は長めにとって、うまく撮れなくても大丈夫と言い聞かせ続けました。
そんな中でも先生は疲れさせない程度でかつ効果的な、絶妙のアドバイスを下さって、無事良い録画を撮ることができました!
「ここがあともう少しだなぁ」というところがあるまま提出するのは本当にもったいないです。
できないことは仕方ないこともあると思いますが、今できる最善の演奏を目指す方には、とことんお付き合い致します!
そこまで突き詰めて準備した先には、ご自身の成長をはっきり感じられる結果が待っていると思います。
結果は、無事Distinctionで合格!講評の内容は?
ビデオを提出して、すぐに結果が届きました。
結果は、無事Distinctionという最高評価での合格でした!
ここでは、主にお褒めいただいていたことから一部分を、私の日本語訳紹介したいと思います。
各曲の講評
バッハ
「テンポも一定で、フレーズやスタイルも的確に表現できていましたし、音も粒も揃っていました。」
ハイドン
「メヌエットは音色をよく考えられていてエレガントに、その後のトリオでは対比をしっかり表現できていました。全体的に音楽的にフレーズをよく考えて、アーティキュレーションと装飾も上手に演奏できいました。」
ピリング
「テンポや演奏スタイルが適切で、音色や響きをよく考えながらペダルを効果的に使うことができていました」
全体講評
「プログラムは演奏曲の順番が良かったですし、曲間の間の取り方も十分で、落ち着いていて、かつ全体的な流れも良かったです。」
技術的にも問題なく演奏できており、様々な曲想の曲を揃えていましたが、どの曲も自信を持って演奏できていました。」
その他、リズムが曖昧なところ、しっかりと表現しきれていないところなども、きちんと指摘いただいていました。
今回、準備も念入りにし、撮影にもしっかり時間を取ったことで、今できることは全てやり遂げたという達成感を感じることができたと思います。
今後に活きる課題はもちろんたくさんあると思いますが、いい結果に繋がったことで、これまでの努力が実って本当に良かったです!
合格された感想をお聞きしました。
副楽器として始めたピアノでしたが、バロックから現代曲までバランス良く学べて、メインのバイオリンの演奏にも良い影響があったと思います。
引き続きセオリーのテストのご指導も宜しくお願い致します。
今は、音楽理論グレード5受験に向け、試験対策の最終準備をがんばっています!
私のレッスンでは、ABRSMの受検のためだけでなく…
①音楽が生徒さんの人生にとって大事な存在になること
②これからの時代を生き抜く「想像力」や「習慣を作る力」を育てること
③自分で理解し音楽を作っていく力を身に付けていただくこと
を目標にし、日々生徒さんの成長を願ったレッスンを行っています。
レッスンについては以下のリンクをご覧ください♪
レッスンをご希望の方は、お問合せからご相談ください。
コメント